Graffiti of Dental Technology

Vol.49 : 間接法による金属製ポスト併用レジン築造の製作

     〜金属製ポストの選択と接着処理について〜

 

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はじめに
 金属製ポストを併用したレジン築造を製作する際、金属製ポストにコア用レジンが確実にコーティングされていないことがある。その原因として、@金属製ポストのサイズ(太さ)の選択の誤りとA金属製ポストの接着処理が不完全であること、などがある。金属製ポストを選択する際に口腔内接着用のコア用レジンや接着性レジンセメントのスペースを充分考慮しなかった結果である。さらに、金属製ポストの表面に汚れが付着していたり、アルミナサンドブラスト処理がされていると勘違いして作業を進めてしまう場合も多いようである。



金属製ポストが露出したレジン築造を観察する

図1.光重合後、作業用模型から撤去した金属製ポスト併用レジン築造。金属製ポストの先端部周辺が露出し、コーティングされたコア用レジンがリリーフワックスを巻き込んでいる。

図2.スチーム洗浄をしてみると、コア用レジンに取り込まれたリリーフワックスや分離材(ワセリン)が除去されムラになったコーティングレジンが認められた。金属製ポストとの接着も不良である。
失敗の原因=金属製ポストのサイズ(太さ)の選択を再考する

図3.失敗しやすい金属製ポストの選択例
術者の多くは作業用模型に金属製ポストを試適して選択を終えてしまう。金属製ポストとポスト孔壁との間にレジンの入るスペースがあるように見えるため作業工程を進めてしまう。

図4..ポスト孔内に約0,1〜0,2mmの厚さのワックスリリーフをした後、金属製ポストを試適する。一見すると製作できそうだが、ポスト先端周辺がわずかにワックスに接触しているのを見落として製作してしまうことが多い。

図5.失敗しないための金属製ポストの選択例     ワックスリリーフした後に金属製ポストを選択すべきである。前述の失敗例よりワンサイズ細い金属製ポストを試適してみるとコア用レジンのスペースが約0,2mm確保されているのがわかる。

図6.リリーフワックスを除去して金属製ポストとポスト孔壁との実際のスペースをチェックしてみる。コア用レジンの厚みとワックスリリーフ量を合わせると、少なくとも約0,4mmのスペースが確保できる金属製ポストを選択すべきである。

金属製ポスト先端部周辺のレジンスペースを確認するには?

図7.左:熱湯で収縮して電線を包み込む収縮チューブ(収縮後は厚さ約0.2mm)。右:金属製ポストにチューブを固定すればポスト先端部周辺のレジンのスペースがチェックできる自家製レジンスペース確認用ポスト。

図8.レジンスペース確認用ポストはわずかな抵抗感を示しながら挿入することができた。金属製ポスト先端部周辺に約0.2mmの厚さのレジンスペースがあることをチェックをすることができる。

金属製ポストの被着面処理を確実に行う

図9.本学附属病院の補綴科と中央技工室で主として用いられている金属製ポスト(ADポスト/クラレメディカル)。

図10.ADポスト表面を観察すると保管ケース内で接触して光沢を呈したものや、ピンセットで把持したと思われる傷あとなどが認められる。また、グレー色を呈しているためサンドブラスト処理されていると勘違いしやすい。
図11.ADポスト表面には機械的維持形態としてグルーブが形成されているが、積極的にアルミナサンドブラスト処理と接着性プライマーの塗布をして化学的な接着効果を向上させる必要がある。 図12.上:平均粒径50μのアルミナサンドブラスト処理を行ったADポスト。下:未処理のADポスト。表面性状の違いが明らかにわかる。
図13.サンドブラスト処理後、スチーム洗浄を行い清浄な被着面とする。ADポストはステンレス合金製のため、非貴金属に対して高い接着効果が得られるアロイプライマーを塗布する。 図14.完成した金属製ポスト併用レジン築造体。適切な太さのポストの選択と接着処理によって金属製ポスト表面はコア用レジンで確実にコーティングされている。

おわりに
 歯質の残存量が少なく、根管口が漏斗状の症例などでは強固な接着と補強効果を得るため金属製ポストを芯材として用いる場合が多い。間接法により金属製ポスト表面をレジン層で確実に覆っておくことは、象牙質面に応力が集中するのを防止する意義がある。支台築造は建築物の基礎部分に相当する重要な部分であるため、補綴物の長期的な安定を維持するためにも接着技法を遵守し慎重に製作工程を進めるべきである。

参考文献
邑田歳幸、水野行博、坪田有史、高瀬英世、福島俊士;築造体製作の現在。QDT,vol.27,No.10.19〜25.2002.



Presented byT.Murata(歯科技工研修科 邑田 歳幸)


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