Graffiti of Dental Technology

Vol.42 : 分割シリコーンコアとシリンジを用いた射出成形法によるインプラントの
プロビジョナルレストレーションの製作

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はじめに
 
インプラント補綴におけるプロビジョナルレストレーションは、審美性だけでなく、咬合接触、隣在歯、及びフィクスチャーの周囲の歯肉に調和した形態が重要である。また、テンポラリーアバットメントを用いてワックスパターンを製作し、歯冠形態を正確にレジンに置き換える必要もある。
  今回は、ワックスパターンの形態を二分割に印象し、シリンジを用いて射出成形法による製作術式を2症例紹介する。



 コア法による圧接成形法の問題点

1)アンダーカット部のシリコーンコアの取り外しが困難で、ちぎれてしまうこともある。
2)バリの発生による形態修正や咬合調整の量が多くなる。
3)フィクスチャーの周囲の歯肉や下部鼓形空隙の形態再現性が悪く、修正が必要である。


 図1.シリコーンコアを用いたレジンの圧接成形法の場合、バリの発生は避けられない。  図2.始めからアクセスホールを保護するための処置を怠っているため、テンポラリーアバットメントのアクセスホールがレジンで埋まり、調整の時間を費やしてしまう。

 

 分割シリコーンコアと射出成形法

長所
1)アンダーカット部の形態再現性が良く、分割シリコーンコアの取り外しが容易である。
2)気泡やバリの発生がほとんどないため形態修正や咬合調整の量が少ない。
3)フィクスチャーの周囲の歯肉や下部鼓形空隙の形態再現性が良く、わずかな形態修正で済む。


図3.テンポラリーアバットメントを調整し、フィクスチャーの周囲の歯肉形態、咬合接触、清掃性を考慮したワックスアップを行う  図4.アンダーカット部は、コア(黄線部より下)の取り外しが困難であるため、二つに分割して印象採得を行う。またテンポラリーアバットメントとフィクスチャーレプリカの位置関係を、油性ペンで記入する。
 図5.最初にアンダーカット部の印象採得を行い、分離剤としてワセリンを塗布する。  図6.二次印象はアクセスホールの開口部を確実に印象材で塞ぐように印象する。

図7.テンポラリーアバットメントとフィクスチャーレプリカのマークを合わせて固定し、アルミナサンドブラスト後、メタルプライマーを塗布しオペークを築盛、重合する。

図8.ディスポーザブルシリンジ(ジーシー社)に混和したレジンを流し込む。
 図9.分割シリコーンコアを組み立て、シリンジでレジンの射出成形を行う。  図10.射出成形法は、気泡もなくバリの発生も少ない。

 図11.頬側面観
分割シリコーンコアにより、ワックスパターンに与えたフィクスチャーの周囲の歯肉形態と下部鼓形空隙の形態をそのままレジンに置き換えることができた。

 図12.咬合面観
射出成形法によりワックスパターンに与えた咬合面形態と咬合接触を正確にプロビジョナルレストレーションに再現することができた。

 

フィクスチャーの埋入方向が異なる場合の製作方法


 図13.ワックスパターンのアクセスホールに印象用のガイドピンを挿入し、同様の方法で分割シリコーンコアの採得を行う。
 硬化後、ガイドピンを外してから分割シリコーンを取り外す。
 図14.分割シリコーンコアを組み立てた後、ガイドピンを挿入してレジンの射出成形を行う。

おわりに
 今回は、分割シリコーンコアとシリンジを用いた射出成形法によるインプラントのプロビジョナルレストレーションの製作術式を紹介した。
 分割シリコーンコアにより、アンダーカット部の正確な印象採得が可能になり、ワックスパターンに付与したフィクスチャーの周囲の歯肉に調和した形態と、歯冠形態を再現することができた。また、シリンジを用いてレジンを射出成形することで、気泡やバリが少なく、わずかな形態修正でプロビジョナルレストレーションを製作できた。
  インプラント補綴におけるプロビジョナルレストレーションの製作上の問題点が少しでも解消できれば筆者として幸いです。

材料
 図5.エグザファインレギュラーハードタイプ(6.130円/ジーシー社)
 図6.ゼタラボ(5Kg/5.800円/セルマック社/フィード社)
 図8.ディスポーザブルシリンジ(10本入/3150円/ジーシー社)

参考文献
 1.
水上哲也,大石庸二:軟組織のマネージメントを考慮したプロビジョナルクラウンの製作, 歯科技工別冊インプラントの技工,56〜59,医歯薬出版,東京, 2004.
 2.日高豊彦,高橋 健:インプラント上部構造のサブジンジバルカントゥア PartT対談:チームアプローチによる形態決定法,QDT 32 (1):22〜44,2007. 
 3.高橋 健:インプラント上部構造のサブジンジバルカントゥア PartU:歯科技工士が知っておきたい情報と考察点,QDT 32 (2):15〜38,2007.



Presented byY.Ide(歯科技工研修科 井出 康時)


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