Graffiti of Dental Technology

Vol.38 : 鋳造体の適合を妨げる問題箇所を捜す
-各種適合検査材を使用してみる-

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はじめに
 クラウンやブリッジなどの製作時、予期せぬ不適合を時々経験する。複雑な形状のインレーやメタルコアなどは尚更である。アンダーカットを利用するクラスプの場合、鈎腕以外の部分が適合を妨げていることが多い。適合を妨げる原因と問題箇所を迅速に捜し、調整を行うことが第一であるが、不用意な調整がルーズ箇所の拡大や作業用模型の破損を招いてしまうこともある。
気泡やバリなどの突起物は、マイクロスコープを用いることにより模型試適前に調整することが可能であるが、パターンの変形、埋没材の膨張不足、アンダーカットなどが原因の場合は、模型試適時に模型との接触として現れることが多く、勘を頼りに調整を行うことは非常に難しい。
今回は鋳造体の模型試適時、適合を妨げている問題箇所を捜すための材料と方法を幾つか紹介する。




鋳造体の内面に塗布して接触箇所を捜す
クラウンの適合チェックに「ほわいとFIT」を使用

 液状検査材の「ほわいとFIT」(18g入り2500円/林歯科商店)。検査後、簡単に洗い流すことができ、模型への着色もない。  付属の専用筆を用いて鋳造冠の内面に一層塗布して、乾くのを待つ。速乾性のため数秒で白い塗膜が形成され、試適を行うことができる。
 剥離した塗膜が模型に付着することにより、クラウン内面の接触箇所が確認できる。  剥離した箇所をペンや鉛筆でマーキングし、バーまたはポイントで調整を行う。

ミリング部の適合チェックに「オクル−ジョン スプレー」を使用

 ワックスをスプレーしてワックスパターンの咬合チェックやクラウン内面の適合チェックを行う検査材「オクルージョンスプレー」(75ml入り2900円/内外歯材)。  ミリングを施した軸面部およびピンやチャネル部の適合チェックに有効である。
 スプレー式なので細部にも均一な被膜を形成することが可能であり、スチームクリーナーを用いて簡単に落とすことができる。  各部の状況に応じた最適なバーやポイントを選択するために、試適後の被膜の状態を慎重に観察する。



鋳造体の内面に塗布して接触箇所を捜す
クラウンの適合チェックに「鉛筆」を使用

 「鉛筆」または「色鉛筆」を適合検査材として使用する。  模型に塗布した鉛筆の色がクラウンの内面に付着することで、簡単に適合を妨げている箇所の特定ができる。

インプラントの適合チェックに「オクル−ジョン スプレー」を使用

 アバットメントの形態は比較的シンプルであるが、金属肉厚部が多く存在する上部構造体の適合は容易でない。  細く、深い部分へのスプレーは難しいので、オクルージョンスプレーはアバットメント側にスプレーするとよい。



鋳造体の内面に塗布して接触箇所を捜す
クラスプの適合チェックに「Arti-Fol」を使用

 厚さ8μmの咬合フィルム「アルティ・フォル」(20m巻1900円/(株)プローデント)。  アンダーカットを利用するクラスプの場合、調整前は模型に全く適合しないことがある。3〜5mmの巾に切ったフィルムを模型との間に挟み、接触箇所を調べる。
 クラスプ内面の調整は、接触を取り除くクラウンなどと異なり、義歯の維持と安定を得るための接触状態に整えることである。  義歯の着脱方向を考慮したバー、ポイントの当て方が重要である。



おわりに
 鋳造体の適合を妨げる原因および問題箇所の早期発見と的確な調整は技工操作の作業効率に影響する。時間的に余裕のないラボ・ワークでの適合検査は、できるだけ安易なものを用いて行い、少ない調整回数で終了させたいのが本音である。しかし技工物の品質に大きく関係することから、技工物の形状、構造、適合精度のレベルに応じた検査および調整法を準備しておくことが大切であると思う。他にも様々な適合試験材が市販されていることから、安価で優れた試験材を手に入れたいものである。


Presented byY.Miyama(歯科技工研修科 三山善也)


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