Graffiti of Dental Technology

Vol.36 :チッピングしない私のマージントリミング法

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はじめに
 支台歯模型のマージンラインは、周囲の歯肉をトリミングするだけで明瞭に確認できることが理想である。しかし、日常臨床ではマージンラインが明確なものから支台歯周囲の歯肉圧排が不十分で不明瞭なものまである。このような場合、不用意にマージントリミングを行えばマージンラインのチッピングという重大な問題が生じる。
 そこで今回は、筆者が行っているマージンラインのチッピングを防ぐトリミング法を紹介したいと思う。



チッピングが起こらないケース

 歯肉部をトリミングするだけで、明瞭なマージンラインが現われ、十分な術野が得られる。

 支台歯のマージンラインが明確に認められる印象。

 図右上の印象からの支台歯模型。周囲の歯肉をトリミングするだけなので、マージンラインのチッピングは起こらない。

 トリミングが終了した支台歯模型。容易にトリミングが行えた。

 

チッピングが起こりやすいケース

 マージンラインが不明瞭でトリミングが難しい状態を示す。

 トリミング前の支台歯模型。歯肉に覆われてマージンラインが確認できない。

 マージンラインの一部が歯肉で覆われているため、切縁方向からでは確認できない。

 トリミング終了。マージンラインにはチッピングが認められる。バーの当て方や回転方向、軸ぶれ、不適切な回転数(15000回転以上)などが原因である。

 

チッピングを防ぐには
1. 石膏硬化材を塗布する

石膏表面硬化処理材(アルファコート)を塗布すると、石膏のチッピングを抑えることができる。


左 石膏表面硬化処理材 塗布なし
右 同 硬化処理材 塗布済み 
矢印部に石膏のチッピングが認められる。(同一条件で削ったもの)

チッピングを防ぐには
2. バーの回転方向を注意する

 軸ぶれのないバーで試験的に石膏棒を正回転で切削。(15000回転)

 B部には下方から跳ね上げるような力が加わり石膏の鋭縁部にチッピングを生じやすい。反対にA部では、全くチッピングが見られない。

 バーの当て方の悪い例を示す。下方から跳ね上げるような力が加わりチッピングしてしまう。


 良い例。正回転(10000回転以下)でトリミングを行っているが、上方から下方にこそぎ落とすような力が働くため、チッピングは起こらない。クロスカットのカーバイドバーを用いるとさらによい。

チッピングを防ぐには
3. シリコーンホイールを使用する

 周囲の歯肉を大まかにトリミングした後にシリコーンホイールを利用する。正回転(10000回転以下)でトリミングを行ってもチッピングは生じず、また常に切縁方向よりマージンラインを目視することができるため、削りすぎることがない。

 ネジの皿の径を小さく加工することで細かなトリミングが可能となる。
(セラモホイール、井上アタッチメント)


 

カーバイドバーとシリコーンホイールの利点と欠点



 矢印部では特にチッピングが生じやすい。シリコーンホイールを用いたトリミングが有効である。

 トリミング終了。シリコーンホイールを利用することで、チッピングせずにトリミングを行なうことができた。

 


まとめ
 今回はチッピングの起こらない安全なマージントリミング法について紹介した。そのポイントを要約すると
 
1. 石膏表面硬化処理材を塗布する
  2. 軸ぶれのないバーを使用し、回転方向に注意する
  3. シリコーンホイールを利用する
の3点が挙げられる。
 ここに紹介したシリコーンホイールを用いたトリミング法は、チッピングがなく信頼性の高い術式の一つです。バーで行なうトリミングの利点と欠点を理解した上で併用するとより効果的だと思います。日常臨床でチッピングに悩んでおられる方は一度、お試し下さい。

使用材料
石膏表面硬化処理材:アルファコート  発売元 創仁
シリコーンホイール:セラモホイール  発売元 井上アタッチメント株式会社

参考文献
山口 基積ほか:6.歯型トリミング時にマージンがチップすることがあるのですが./実戦力アップ歯科技工のキーポイント50〜クラウン・ブリッジ編〜 月刊 歯科技工 別冊.医歯薬出版.東京.1989:26―29. 




Presented by K.Ihara (歯科技工研修科 伊原 啓祐)


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