Graffiti of Dental Technology

Vol.34 : ポストのパターン採得攻略法

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はじめに
 『どつぼにはまる』という言葉がある。メタルコアの製作では、ポストのパターンが折れたり,抜けなかったり,気泡が入ったりと何もかもうまく行かず投げ出したくなるような時がある。まさに、この言葉がぴったりと当てはまる。
マイナーな仕事は、失敗すると仕事のリズムが狂い出だす、仕事の流れを止めないためにも確実な仕事をする必要がある。 今回は、この技工操作をスムースに、しかも確実に行うための技工のポイントを紹介する。



よくある、ポストのパターン採得 トラブル

トラブル1.パターンに空洞がある。
トラブル2.パターンが折れる。

 トラブル3. パターンの先端や内部に気泡がある。

 

失敗しないポストのパターン採得 術式1

ポイント1.石膏表面硬化剤
1)作業用模型に石膏表面硬化剤を塗布する。この分離効果は大きい
ポイント2.先端まで塗布
2)WAX分離材は、ポスト先端まで確実に塗布する。

ポイント3.温める
1)探針は、太いほうが熱容量が大きく、操作性がよい。ポストのサイズより一回り小さい探針を用いる。
2)加熱した探針でポストの中を温める。
* ポスト内部が冷たいと、流したWAXが途中で硬化し、先端まで流れてくれない。

ポイント4.WAXを誘導する
1)ポストに流すWAXをポストの開口部付近に盛り上げる
2)加熱した探針をWAXに触れないようにポスト先端まで差し込む。

3)そのまま探針を傾け、盛り上げたパラフィンWAXに接触させる。
*WAXは、探針を伝わって一気にポストの先端から満たしてゆく。
*WAXは、流れのよいパラフィンWAX を用いる。

ポイント5.腰の強いディッピングワックス[Flexi-Dip]
1)ポストの約2/3までパラフィンWAXを流し、残り1/3は、腰の強いディッピングWAX「flexi-Dip 」を流し込む。

*このWAXは、上図のような位置まで曲げても、なかなか折れない。また、型離れがよく、歯型に張り付くことが少ない。

*完成したWAXパターン
*ポストを折らずにパターン採得することができる。*ポストが細い場合には、先端の1/3をパラフィンWAX、残りの2/3を flexi-Dip WAXを用いるなど、バランスを変えるとよい。

 

失敗しないポストのパターン採得 術式2.(心棒を入れてポストを補強する)
印象から明らか。 ポストにアンダーカットがある。

ポイント6.プラキャストバーで心棒。
1)プラキャストバーを加熱し、左右に引き伸ばす。
2)中心部からポストの形状に似た部分を切りとる。

ポイント7.綿花をバーに巻きつけて。
1)ポスト圧接時に、WAXがはがれ易いので、少量の綿花をバーに巻き付けて瞬間接着剤で固定する。
*ステッキーWAXを少量焼き付けてもよい

ポイント8.パターンの抜き差し。
1)INLAY WAXを小量盛り上げ、ポストに圧接し、WAXの硬化前にパターンを抜き差しする。
*WAXは圧接し易いINLAY WAX SOFT(GC)を用いた。

 

 8つのポイント

  1. WAXの離型性を向上させるために、作業模型に石膏表面硬化剤を塗布する。
  2. WAXの分離材をポスト先端まで塗布する。
  3. WAXを流す前に作業模型のポスト内部を加熱した探針で暖める
  4. 加熱した探針でポスト先端部に WAXを誘導する
  5. 腰の強いディッピングWAX「flexi-Dip 」を使用し、ポストの変形や折れを防ぐ。
  6. 明らかなアンダーカットがある場合には、プラキャストバーで心棒を作る。
  7. ポスト圧接時にWAXがはがれ易いので、少量の綿花をバーにまきつけて瞬間接着剤で固定する。
  8. WAXが完全硬化する前に 、ポストの抜き差しを数回繰り返す。

 *WAXパターンのポストがうまく抜けてこない時は、ポストの内壁にWAXが浸み込んでいる場合がある。こんな時は何度分離材を塗布しても流し込んだワックスが壁のワックスと一体化し、パターンは抜けてこない。作業前に、スチームクリーナーかベンジンでポスト内面のWAXを確実にクリーンにする必要がある。




おわりに
 下図は、メタルコア完成後の作業模用型である。 スチームクリナーを用いると、汚れた模型を簡単にきれいにすることができる。非常に便利な機械として普及しているが、この道具は、模型に与えるダメージが相当大きい。昔は、このような道具がなかったので、『模型を汚さないように』と、多くの人から指導を受けた。この道具の手軽さは、技工士の緊張感を大きく低下させたように思う。メタルコアの製作「8つのポイント」とともに、注意したい9番目のポイントである。

 コアの完成後、スチムクリーナーにて清掃した作業用模型の石膏表面は、相当に傷んでいる。        

使用材料

ディッピング用WAX : flexi-Dip              発売元  ATDジャパン TEL0120-8020-88
スプルー用プラスティックバー : プラキャストバー  発売元 石福金属興業 TEL03-3252-8471



Presented byM.Ichikawa(歯科技工研修科 市川正幸)


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