Graffiti of Dental Technology

Vol.33 模型に形成する保持孔について考える

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はじめに
 咬合器からはずれた作業用模型や対合模型を観察すると、アンダーカットが不十分であったり強度が期待できない小さな保持孔が形成されていることが多い。一般に模型に保持孔を形成する際にはカーバイドバーを用いて十分なアンダーカットと強度を持つように形成することが基本である。 
 
今回は、確実な咬合器装着のためのマクロの保持孔を形成する術式として短冊状に切ったシリコーン印象材を用いる方法と、自家製シリコーンボクシングフォーマーを用いる方法について紹介する。


 模型基底面には微細な空洞や切削による粗面がミクロの保持孔として存在する。半乾燥状態の模型基底面に装着用石膏の水分が吸水されると同時にミクロの保持孔に石膏泥が移動して凝固し強固に嵌合する。模型基底面に凝集破壊が観察される場合はミクロの保持孔に装着用石膏が強固に嵌合している。一方、過度の吸水によって模型基底面に水が浮いている場にはミクロの保持孔に対し石膏の嵌合が妨げられ、模型は簡単に外れてしまう。

 

1.シリコーン片で保持孔を付与する方法
  〜 対合模型への応用 〜


1.金属床の耐火模型を製作する際に用いたシリコーン印象材による複印象を短冊状に切断する。印象に石膏注入した後、このシリコーン片の方向を変えて深く埋入する。

2.石膏硬化後、シリコーン片を撤去する。大きく深い異なる方向の保持孔を簡単に形成することができる。咬合器装着時にモデルトリマーで模型基底面を調整しても保持孔は残る。

 

〜 スプリットキャストの二次石膏への応用 〜
1.スプリットキャストの二次石膏に、カーバイドバーで保持孔を形成する際、貫通してしまうことがある。 2.対合模型にシリコーン片を埋入した同じ方法を用いれば簡単に保持孔を形成することができる。

 

自家製シリコーンボクシングフォーマー

1.左右は市販のボクシングフォーマー、中央は、自家製シリコーンボクシングフォーマーである。黒線で示すダウエルピンの位置を避けて保持孔を付与した。

2.自家製フォーマーの保持孔の深さは約5mmでそれぞれ異なる方向に十分な強度を持たせて設置されている。また、カーバイドバーの刃の形態も維持に効果がある。
3.自家製フォーマーは、シリコーンゴム枠なので、作業用模型の取り外しが容易で、ちぎれにくく耐久性に優れている。

4.ダウエルピンの位置を避けるように保持孔が付与されている。また、接着性のある石膏・ボンディングストーンを用いて咬合器装着を行うとミクロとマクロ保持孔に加え接着効果も期待でき、さらに確実性が増す。


おわりに
 間接法で技工物を製作する時、作業用模型と咬合器はどちらもなくてはならないものである。咬合器装着はあらゆる技工物の製作に必須の作業工程で、大きな外力が加わり、時には熱湯にさらされ、それでも装着した模型が外れれば作業への影響は大変大きい。ミクロの保持孔だけで十分という意見もあろうが、どのような条件下でも外れることの無いようにマクロの保持孔にも多少のこだわりを持っているので、ホームページの場をお借りしてご紹介しました。この小さな工夫がお役に立てば筆者の喜びとするところです。

材料と参考文献
 歯科複模型用シリコーン印象材デュプリコーン(1箱/13500円/松風社)
 ボンディングストーン(1箱/4800円/チョーワ社)
 全国歯科技工士教育協議会編集:新歯科技工士教本,歯冠修復技工学,医歯薬出版,68〜71.


Presented byY.Ide(歯科技工研修科 井出康時)


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