Graffiti of Dental Technology

Vol.32: 精度がよく破損しないレーザー溶接のポイント

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はじめに
 レーザー溶接の特長は、義歯を数時間預かる間に鑞着法では不可能と思われるような金属床義歯の修理や改造が可能になることである。今回は、歯科技工研修科で行なわれている義歯修理や改造の実際をご覧戴いただき、変形の少ないレーザー溶接のポイントについて紹介したいと思う。
 一方、レーザー溶接の欠点は、レーザー溶接機が日本の補綴臨床に導入され早くも13年経過したが、今だに普及率が低いことである(日本の歯科技工所に導入されている数、推定350台)。このため金属床義歯を修理、改造しようとする時、義歯を数日預かりレーザー溶接技術を持ったラボに外注しなければならない。そこで、後半では金属床義歯を取込み印象し、数日預かって修理する場合のポイントについても紹介する。



1.使用中の金属床義歯の増歯を即日で行った症例
 76|4567欠損の金属床義歯にレーザー溶接による21|12の即時追加修理を行う。

 接合面が正確に再現された作業模型上で増歯用金属フレームを製作し適合させる(ポイント1)。 印象採得の前に、レーザー溶接に必要な0.5mm以上の厚さを確保するために義歯辺縁を削合する(ポイント2)  即日でレーザー修理を行うために増歯用金属フレームにあらかじめ人工歯を排列し、重合研磨しておく。フレームの3本のストッパーにより義歯と増歯用フレームを正確に組み合わせることができる。
 接合部に開先を形成し、光が通過する間隙がないことを確認する(ポイント3)。貫通溶接で正確に固定する(ポイント4)。接合部の開先の精度はレーザー溶接の変形や溶接部位のクラックの大きな要因である。  固定された接合部にフィラーメタルの盛り上げを行った。盛り上げる部位は対称的に、量は等量ずつ慎重に進める(ポイント5)。抜歯後直ちに審美性を回復することができ患者の満足が得られた。

 

2.金属床義歯を数日預かって破折したクラスプの交換修理を行った症例。
 4 1|1234 6欠損の金属床義歯の6|の破折したクラスプの交換修理

 リフォームの計画は、|の破折したクラスプのレーザー溶接による交換修理と、人工歯と義歯床の同時交換である。  金属床義歯の取込み印象を採得する。義歯が口腔に正確に適合している状態が印象されている(ポイント1)
 破折部の周囲は金属疲労、鋳造欠陥などの恐れがあるため少し離れた位置に接合面を設定する(ポイント2)  接合部は、開先の形成を考慮し、0.5mm以上の厚さのある部位に設定し、直線的でシンプルな形態に形成する(ポイント2)。作業模型上でパターン用レジンを盛り上げパターンを製作する。
 鋳造後、模型上で適合を確認する。開先を形成した接合部に間隙がある。これでは貫通溶接による位置の固定は正確に出来ない。貫通溶接部の収縮により矢印方向への変形が生じる。  実際に隙間がある状態で貫通溶接を試みた。結果、溶接時の収縮でフレームが変位し、模型に正確に適合しなくなった。切断し再度レーザー溶接をやり直す。
 接合面の片側にフィラーメタルを盛り上げ間隙がないように調整する(ポイント3)。貫通溶接を中央、両端の順に3ヶ所行ない固定する。内面からも同様に行なう(ポイント4)。この時点で変形が起きていないことが大切である。  開先の中心から矢印の方向へフィラーメタルを盛り上げ、内面からも同様に盛り上げる。この時フィラーメタルを等量ずつ盛り上げる(ポイント5)。母材同士を溶接するよりも開先にフィラーメタルを盛り上げる方が強度も増し、変形も少ない。
 内面の余剰に盛り上げたフィラーメタルを削合し作業模型に適合させる。  作業模型上と同様に口腔内でも正確な適合が得られている。

レーザー溶接修理のポイント

1:正確な位置情報と形態情報。義歯が口腔に正確に位置づけられ、かつ、接合面の精密な印象

2: 接合面の形成。接合面は0.5mm以上の厚さがあり、鋳造欠陥や金属疲労がない部位に直線的でシンプルに形成


3:開先の形成。レーザー溶接の精度と強度を確保するための間隙のない開先を形成


4: 貫通溶接で正確な固定。開先の中央に貫通溶接し、続いて点対称の位置に貫通溶接


5:フィラーメタルの盛上げ。精度よく強度のあるレーザー溶接を行うために点対称、線対称にフィラーメタルを等量ずつ盛上げ
 以上、レーザー溶接修理の5つのポイントのうち1、2はチェアーサイド、3、4、5はラボサイドのポイントである。

 


おわりに
 レーザー溶接時の精度と強度を得るための基本的な考え方について報告させていただきました。前準備や印象など、実際にレーザー溶接をする技工士とよくコミュニケーションを取ることでスムーズな修理や義歯の改造を行なうことが出来ます。今回の内容が少しでも日常臨床のお役に立てて頂ければ幸いです。
 DLP(Dental Laser Proessing)フォーラムは同じレーザー溶接機を使用している人たちによる情報交換や知識の向上、技術の研鑽の会です。このDLPフォーラムホームページ(http://www.dlpforum.com/)に技術を持ったラボの情報もご覧いただけますのでご参照ください。

参考文献
都賀谷紀宏ほか:補綴設計・リフォーム・修理 レーザー溶接・新技法を臨床に活かす.補綴臨床別冊.医歯薬出版,東京,2006.



Presented byN.Kawamura(歯科技工研修科 河村 昇)


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