Graffiti of Dental Technology


Vol 25:強度を付与したゴシックアーチトレーサーの製作

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はじめに
 ゴシックアーチトレーサーの製作では3つの大きな技工のポイントがある。
  (1)基礎床が作業模型に正確に適合していること。
  (2)描記によって変形,破損しない強度を有すること。
  (3)描記時に口腔内で安定すること。
 これらの中から、私が体験したゴシックアーチトレーサーの強度の大切さについて、症例技工を通じて紹介する。


1.強度を付与して製作するゴシックアーチトレーサー

描記板,描記針を補強する

補強したゴシックアーチトレーサー

 描記板の上からトレー用レジンを圧接し、板を取り込むように裏打する。強度を得るためには、厚さ約5〜7mmが必要である。

 外形を蝋堤と相似形に修正し、補強した描記板と描記針(左:表面、右:裏面)。この形状により、操作性も向上する。
装置を組み立てる。

 完 成

 トレー用レジンで補強した描記板と描記針,基礎床のそれぞれのパーツを組み立てて連結固定する。

 完成した無歯顎用のゴシックアーチトレーサー。

 

2.強度不足が原因と思われるトラブル

1.描記板が外れた!

 描記中に、描記板が外れてしまった。原因は、基礎床の強度不足と描記板のたわみと思われる。

2.描記針が外れた!

 描記針は、常温重合レジンで固定されているが、下部は空洞である。描記針の支持不足で、固定したレジン部が壊れた。石膏で空洞を満たしておく必要があった。

3.変形した描記板

上、中:変形した描記板 
下  :新品の描記板
 曲げようとしても、そう簡単には曲がらない描記板も、たわんで変形している。

4.描記板が損傷した

 アルマイトの描記板の表面は、描記針の軌跡どおりにえぐられ、タッピングポイントは深い圧痕になっている。患者により、咬合力に大きな差があることがわかった。

5.ゴシックアーチトレーサーがたわむ?

 石膏コアをトリミングして上下の位置関係を確認したが、描記針を支点にシーソーする。しかし、ゴシックアーチトレーサーを両手で握ると、たわんで安定する。
 描記針の補強不足と思われる。

 


まとめ
 破損したゴシックアーチトレーサーを観察すると、あらためて、咬合力の大きさに驚く。この力は私の想像をはるかに超えるものである。レジンと一体化したゴシックアーチトレーサーは、補強効果が得られるだけでなく操作性も向上する。模型上に装置を「組立てる」という感覚で作業ができるようになった。ゴシックアーチトレーサー製作の参考にしていただければ幸いである。

参考文献
 林都志夫 : 全部床義歯アトラス 医歯薬出版、東京、1975
 市川正幸 : ゴシックアーチトレーサーの製作、デンタルマガジン116−2005、KKモリタ、

 

Presented by M.Ichikawa(歯科技工研修科 市川 正幸)


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