Graffiti of Dental Technology


Vol 14:隣接面形態が張り出している   

分割の間隙が狭い症例における模型製作の工夫

画像をクリックすると、少し大きめの画像を表示します。

こんな経験ありませんか?」

分割した歯型が抜けない

隣在歯の隣接面形態が張り出している場合(赤丸部分)、分割した歯型が抜けないことがあります

石膏鋸で歯型を損傷させた

支台歯と隣在歯が接近して間隙が狭い場合(青線部)、石膏鋸で歯型を損傷させることがあります(青丸部分)
 

「分割した歯型脱着困難」、「石膏鋸による歯型の損傷が起きる状況とは
 1)支台歯または隣在歯が傾斜している場合
 2)支台歯と隣在歯が接近している場合
 3)最小限の歯質削除により支台歯と隣在歯の間隙が狭い場合

 上記の1)及び 2)における傾斜接近は患者自身の口腔内の環境により起こる場合がありますが、
3)については、現在の修復材料や接着技術と大いに関係があります。
 齲蝕病変部への対処法はこれまでのブラックの窩洞形成と異なるため、
支台歯と隣在歯の間隙が狭い状況は起こりやすくなります。
 以上の状況を有する症例の技工操作においては特に模型製作に考慮が必要で、今回は
隣接面形態が張り出している、分割の間隙が狭い症例における模型製作の工夫
について紹介いたします 。

1)基底面の形成(隣接面形態が張り出している場合)

・模型の基底面(黒線)分割方向(赤との角度A90度以上になるように設定します(左写真)
・ダウエルピンを基底面に垂直に植立させることで、隣在歯が歯型の脱着の妨げとなりません(右写真)

2)咬合器付着 

・二次石膏の厚みはダウエルピンの長さを最大限利用できるように確保し、咬合器付着します(左写真)
・一次石膏は一塊として取り外します(赤線は分割予定位置-右写真)

3)模型の分割(間隙が狭い場合)

歯型と隣在歯の間で確実に分割されるように、ナイフ細いバーガイド溝を付与します

分割は一次石膏の基底部から、付与したガイド溝に向かって石膏鋸を用いゆっくり行います

・歯頸部付近まで石膏鋸を入れると模型はガイド溝に沿って分割され、歯型に損傷はありません(左写真)
・歯型は隣在歯を外すことなくスムースに脱着することができます(右写真)


4)パターン採得・接触点調整 

歯型の脱着の際に、ワックスパターンの形態を損ねることもありません


接触点は歯型のみの脱着で調整が可能です


 

 お わ り に
 隣在歯の隣接面形態が張り出している場合、模型の基底面の形成やダウエルピンの植立方向に工夫を行ないます。歯型の脱着はスムースで、パターン採得、接触点の調整も合理的に行えます。また支台歯と隣在歯の
間隙が狭い場合に
ガイド溝の付与や石膏鋸による基底部面からの分割を行うことで、歯型に損傷を与えない分割が可能になります。
 以上のように模型製作の工夫は技工操作性や模型精度へ大きく影響し、最終的には技工物の精度にも影響するために状況を見逃さずに応用することが大切と思います。

Presented by Y.Miyama(歯科技工研修科 三山善也)


←BACK     △GO MENU        ▲GO TOP       NEXT→