Graffiti of Dental Technology
Vol.8:磁性アタッチメントの技工 〜Let's
try ダイレクトボンド法〜
画像をクリックすると、少し大きめの画像を表示します。

|
はじめに
磁性アタッチメントは長期的に安定した吸引力を発現できることや、審美的にも優れていること、義歯の着脱も容易に行えることなど臨床応用の範囲も広く補綴臨床上有用なアタッチメントです。しかし、この優れたアタッチメントも従来の鋳接法では鋳造時の金属の収縮応力によるキーパーの変形、隙間腐食、鋳造後の研磨によって吸引力が低下するなどの問題点がありました。
ダイレクトボンド法はダイレクトボンド用キーパーを接着性レジンセメントで根面板に合着する方法です。そのためキーパーの変形や酸化がなく吸着面の研磨も必要としないなど従来の鋳接法の問題点を解決した方法といえるでしょう。
そこで今回この優れた特徴を持つダイレクトボンド法の利点をより生かした技工術式を実際の臨床例を用いて紹介します。
|
|

|
 |
| キーパーハウジングパターンを鋳造した自家製サイズゲージを用いてキーパーの選択を行います。勿論、ハウジングパターンを直接根面上に置いて選択してもかまいません。 |
自家製ゲージにより大きさを選択したのち、サベヤー上でハウジングパターンを義歯の着脱方向に垂直になるように取り付けワックスアップ、埋没、鋳造まで行います。 |
 |
 |
| 鋳造後、超精密仕上げフィルム4000番(住友3M社製)をガラス板上に貼り、機械油を滴下して根面板上部を研磨します。このフィルムを用いることにより耐水ペーパーなどの紙ヤスリを用いて研磨したものよりも優れた平面を出すことが可能となり、キーパーをセメント合着する際にセメントのバリを薄くすることに一役かっています。 |
根面板の研磨終了後、接着に先立ちキーパーとハウジング内をサンドブラスト処理し、金属接着性プライマーを塗布します。 |
 |
 |
| 接着処理を済ませた後、マグネットとキーパーの間にカバーグラス(松浪硝子工業社製)をはさみこみます。カバーグラスは厚さ0.15ミリと薄いためキーパーとマグネットはこれを介して吸着します。 |
接着にはパナビアフルオロセメントを用います。ハウジング内にやや多めのセメントを満たしカバーグラスを介在させたキーパーを静かに挿入し、カバーグラスの上から光照射を行います。なお、硬化中にカバーグラスに外力などを加えるとセメントスペースに空隙が生じる恐れがあるので注意します。 |
 |
 |
| セメント硬化後マグネットを取り外した状態です。キーパー吸着面へのセメントの侵入はごくわずかに抑えられ、根面板上部と同一平面上に接着することができます。 |
次にカバーグラスをはずし、樹脂製セメント練和ヘラの先端を薄く加工したインスツルメント〔爪楊枝などでも良い〕で余剰セメントをはがします。重要なのはキーパーの表面を傷つけないことです。 |
 |
完成したキーパー付根面板です。カバーグラスを用いることにより接着性レジンセメントの面は滑沢に仕上がり、しかもキーパーの吸着面を傷つけることもありません。 |
|
まとめ
カバーグラス合着法の特徴として
・ カバーグラスを介してレジンセメントに光照射が可能である。
・ キーパーとレジンセメントの面を同一平面に仕上げることが出来る。
・ カバーグラスの平滑面が転写されレジンセメント部が滑沢になる。
・ キーパー吸着面の精度を落とさず完成できる。
|
Presented by T.Hirano(歯科技工研修科 平野 智一)
←BACK △GO
MENU ▲GO TOP NEXT→