Graffiti of Dental Technology


Vol 4:印象撤去時の作業模型の残存歯破折を防ぐための一方法

 こんな経験ありませんか?
「印象の撤去時に部分床義歯の作業模型の残存歯を破折してしまった!」

 ・瞬間接着材やリペアー材などを用いた修正では本来の精度は回復できません
  
作業模型の残存歯破折が起こる要因として

  1)残存歯が孤立している場合
  2)残存歯が大きく傾斜している場合
  3)残存歯の形態に大きなアンダーカットがある場合
  4)臨床歯冠長が大きい場合
  5)硬い印象材が使用されている場合
  6)印象材の層が薄いまたはトレーの一部が露出している場合
  7)印象の撤去方向と残存歯の植立方向が大きく異なる場合

以上の要因が重なるほど作業模型の残存歯を破折する危険は大きくなります。

歯科技工研修科では破折を防ぐために症例に応じて様々な対策を講じており、
今回はその中の効果的な一方法を紹介いたします。

<ダウエルピンを使用する方法>  
[個人トレー+シリコン印象材を用いた症例において]  

  ・ダウエルピンを短く調整します。(維持部の長さは歯冠長より短く、支持部は約10mmにカット)
  ・破折が予想される残存歯のみ一次石膏を歯頸線まで注入します。 
  ・石膏の初期硬化が始まる頃、ピンセットを用いダウエルピンを植立します。
    (先端が印象面に触れないように)
  ・ダウエルピンの植立方向は印象撤去の方向とし、複数の場合はすべて平行にします。
  ・一次石膏硬化後、分離材[スーパーセップ/KERR社]を塗布します。

  ・一次石膏との境目付近に気泡を入れないように二次石膏を注入します。
  ・印象の撤去はダウエルピンの植立方向に慎重に行います。
  ・印象に残った歯型をプライヤーを用いゆっくり引き抜きます。
 

 ・引き抜いた歯型を瞬間接着材を用いて固定します
   (固定せずに歯型を可撤式にすることも可能)

 ・完成した部分床義歯の作業模型。
孤立大きく傾斜」、大きなアンダーカット臨床歯冠が大きい等の
   
重なる 残存歯破折が起こる要因を持った症例

 
 作業模型の残存歯破折を防ぐことは作業工程にわずかな工夫を盛り込むだけで可能です。
 作業工程の増加により作業時間は若干長くなりますが、
印象の精度をそのまま作業模型に生かすことができます。


 
参考文献
 (1)尾花甚一ほか:
作業用模型.歯科技工別冊,医歯薬出版,東京,1976
 (2)坂本健師 ・水野行博・楊箸明朗:クラスプ義歯製作のための作業用模型製作 .
   講座歯科技工アトラス3,111〜125,1982

Presented by Y.Miyama(歯科技工研修科 三山善也)


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